――probability。
        多分そうだろうという可能性の程度。

 未来の自分なんかに希望なんてないし、期待なんてしていない。
 それなりに夢とか持っているけど、どうせ叶わないことを知っているし、叶えるだけの努力をしようとも思えない。

 生きていることに希望なんて無い。
 死んでしまっていいと思う。
 でも、自殺をするのも面倒でかっこ悪くて、嫌で第一、そんな度胸なんて無い。


 プロバビリティの犯罪。
 相手を直接殺すのではなくて、何らかの仕掛で死ぬ可能性を高め、その人物が死ぬように仕向けること。
 ならこれは、プロバビリティの自殺。

 直接的ではなく間接的で、遠回りな自殺を試みる。

 エレベーターがあるのに急な階段を上り下りしてみたり、無茶な運転を試みたり、歯ブラシを口にくわえたまま歩き回るなんていうのも、きっとそのため。
 無意識のうちに、水面に立とうとする。
 何かの偶然で死んでしまって構わない。
 むしろ、望ましい。

 よく、生きていたくても死ぬ人がいるなんて偉そうな顔して言われるけど、だからってそれが私には関係ない。
 他人の生き死に興味なんてない。
 第一、私が生きていたところでその人たちが長生きできるわけでもないし。
 親からもらった命っていうけど、別に、欲しかったわけじゃない。

 だから、今日も偶然を引き起こす行動を繰り返す。

 他人をわざと怒らせてみたり、重たい荷物を持ったまま階段を駆け下りてみたり。

 格別強い意志をもって死にたいわけじゃないけど、生きていたいという確固たる思いも無いわけで、思春期特有のくだらない思想だと笑われても、でも、今の私は死にあこがれている。

 偶然が、いつか起きるのを待っている。
 偶然が、私を殺してくれるのを待っている。

 プロバビリティ自殺同盟。